--- 続 鏡開きに ---


                                                                                                               
 次の日、いよいよ本番。     

仕事が終わり、事務所のスト―ブでお餅を焼き(30ケ)、そして熱湯を通し、器に     

2ケづつ入れ、熱いぜんざいをかける。口直しに奈良漬けを添える。     

その工場の事務所は隣ですので、大きな箱に並べ運ぶ。     

  「 お待ちどうさま〜 」

事務員達は、怪訝そうな顔で一斉にこちらを見る。そこへ工場長が、

  「 どう〜も、どう〜もごくろうさま 」

みんな、

  「 ん〜ん、なぁ〜に〜? 」

  「 そこの小さな会議室に置いて行って〜 」

素っ気無い返事。

  「 なんだ〜こいつ等〜 」     

少し頭にカツ〜ンと来ていたが、ボランティアだと思いつつも・・・

考えて見れば、そこの事務員達はかなりの中年のオッサン揃い。オバサンが     

一人いたかなぁ〜。   

こんな呑兵達に『こだわりのぜんざい』が判るのかなぁ〜と不安になってきた。


 翌日、仕事も終わり、昨日の器と箱を取りに行った。

  「 昨日はど〜も、皆さんお口に合いましたかねぇ〜 」

と、課長がすっ飛んできて、

  「 いや〜昨日はご馳走さまでした。工場長が大変満足して上機嫌でしたよ、

    ありがとうございました。 」

オッサン事務員達も一斉に立ちあがり、

  「 ご馳走さまでした 」

二コ、二コしています。

隅の方で、

  「 あの人、一体何物〜 何屋さんなの?〜 」 だって ! 

  「 普段あんまり甘いもの食べないのに、んまかったねぇ〜 」

課長、

  「 工場長から、是非お礼にと 」

ビ-ル一箱戴きました。

  「 またお願いしますよ〜 」 だって・・・勘弁してくれ〜 

まぁ〜少しは、『違いの分かる人』が居て、作った甲斐がありましたね〜


たかが、ぜんざい、されど、ぜんざい。     

こだわりの、ぜんざい、ぜんざい、ばんざ〜い。


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