この二月に入ってから、連日の積雪、県内の積雪も50cmはあるだろう。 まして山間部は1mは軽く越している。道路脇の除雪の壁は2mに達している。 道路は車の圧雪で「ツルツル」に光り、スリップ事故の連続、そして降り止まぬ雪、 凍てつくワイパー、ライト、フォグランプを点灯、前方が見えない、早朝なので 除雪隊が間に合わない。今年始めて『チェーン』装着、 「 よ〜し、これで一安心 」 雪を蹴散らし、爆走?である。この時期の夜明けは遅い。7時頃にようやく明るく なってくる。幹線道路から脇道に入り、登り坂にかかるが、なにせ空荷なので、 後輪が空転しながら『モンローウオーク』?する。 ここは頑張りどころ、一旦止まると墓穴を掘り、面倒なことになる。なんとか コントロールしながら、くねくね道の登り坂を乗りきる。 「 やったぁ〜 」 と一安心。ここの村落で二、三軒寄って3t程積むので、どっしりと安定して町に 下りる。 さすが、ここらの家々の屋根雪は軒下と連なり、すっぽりと埋まった状態、除雪も 大変な仕事だろう。 幹線道路に出た所で、ライトバンが歩道の縁石を乗り越えて田んぼに落ちそうに なっている。若い「お兄ちゃん」が脇に立ち、携帯電話を片手に何やら連絡して いる様子。 「 お〜い、大丈夫か〜 」 と声をかけると、 「 いや〜 朝から参りましたよ〜 スリップして〜 このざまですよ 」 「 じゃ〜 ワイヤーで引っ張ってやろうか〜? 」 「 今、会社に連絡したら、応援に来てくれると言っていますので〜 」 「 あぁ〜そ〜 じゃ〜 」 と、私は町のメ-カ-に荷を降ろしに向かう。 それから一時間程して、またそこを通りかかると、若いのが8人程集まり、わいわい 言いながら先ほどの車を囲んで、携帯電話する奴、ポケット片手にタバコを吸い 「わいわい」騒いでいる。私は止まり、 「 お〜い、まだ上がらないのか〜 」 「 はい〜 沢山来て貰ったのですが〜 足場が悪く出ないのです〜 」 「 よし〜 ワイヤーで引っ張ろう〜 」 「 はい、お願いします 」 「 あんたの車の後ろのフックにかけろ〜 」 「 はい 」 返事がいい ! 「 よし、車に乗ってギヤは入れなくてもいいから、ハンドルは真っ直ぐに してしっかり握っていろよ〜 」 「 はい 」 「 そこの若いの〜 みんな離れていろ〜 いくぞ〜 」 さすが私の車は重くパワーがある。ぐいぐい引っ張る。 縁石を乗り越え、道路に引き摺り出す。しかも車は無傷だった。 「 よ〜し 」 「 あぁ〜 助かりました〜 」 ところで、応援の若い衆は高見の見物。その若い「お兄ちゃん」の上司らしき奴が、 「 よ〜くお礼申し上げられよ 」 「 どうも、ありがとうございました 」 と。だからさっき、さっさと上げてしまえば、こんなに大事にならなかったのに〜 『船頭多くして 船、川を登る』がごとし〜 人の好意を素直に受けるべし。 |