--- 田植え 今昔 ---


  
 年の「田植え」風景は一週間位、遅く始まったようですね。     

現代、農作業は苗作りから植えつけまで殆ど機械化され、小人数で基盤整理された     

100×50米くらいの大きな田んぼに機械が入り、人が乗ったまま、機械の後ろ     

に苗床を何段も重ね、五条から八条を整然と、しかもきれいに植えて行く。

暫く「なるほど〜」と呆れて見ていました。こんな大きな田んぼを、人手で、たとえ     

10人横一列に並んで植えて行っても、何時間もかるところ、一人で乗ったまま、     

一時間とかからないとのこと。

 私の母方の実家も農業をしていますので、小さいころ、手伝いに行った記憶が     

あります。

リヤカーで苗を運び、それをあぜ道に並べて行くのが私の役割。叔父さん、叔母さん     

達は菅笠を被り、手甲、脚半、腰に手ぬぐい、目印の桝目のころがしの交差した所へ     

丁寧に植えこんで行く。

時折、作業を止め腰を伸ばす。

  「 イテテテテ・・・ 」

と言いながら、腰をかがめての作業で、昔の人は腰の曲がった人が多かったようだ。     

楽しみは「一服」の時、又は「昼飯」の時である。あぜ道に「茣蓙」か「むしろ」を     

敷いての休憩。近所からの手伝いの人達と一緒に「ごっつお」にしめ、にぎりめし、     

たくわん。

このにぎりめしの大きいこと〜。私の顔ほどあったように思う。しょっぱい濃い目の     

「とろこんぶ」その中には、しょっぱい大きな梅干。水筒の番茶をがぶがぶ飲んだ     

覚えがあり、またよく味の沁みこんだ山菜のにしめもうまかった〜。

日が沈み、田の中からは、早速、かえるの大合唱。この見送りを聞きながら帰宅した     

ものです。   


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