--- 初 物 ---


                                                                                                           
 すっかり初秋、 実りの秋に相応しく「べにずわい蟹」の解禁、久しぶりに魚市場     

へ行く。

見るからに「うまそう〜」な色、浜には3000匹ほど水揚げ。湯がき上げればその色     

たるや〜      

そして、浜風に乗ってその「匂い」クンクンと犬じゃあるまいし、自然とそこの     

「釜場」へと足が向く。

旬の味、多分物欲しそうな顔をしていたのでしょうか     

  「 いや〜 うっちゃん久しぶりだね〜 揚げたての足で良かったら     

    2、3本食べていかれんか〜 アチアチ アチチチチ ほれ、ほら〜 」

  「 アチチチチ ごっつぉはん 」

ガリガリ〜と足の両端をかじり、そこにあった割り箸を突っ込み押し出す。まだ     

湯気があがっている。

  「 アチチチチ フ〜フ〜 」     

こんなに熱い蟹は食ったことがない。夢中になって食っているものだから、釜場     

のおばちゃん達はにこにこしながら、

  「 ど〜け、うまかろ〜げ〜 」

  「 んんん〜 最高、最高 」     

と返事ももどかしく、まだ空になった足をしゃぶっていた。それを見ていた人達は、     

  「 おれにも一本くれ〜 」

  「 私にも 」

  「 私も〜 」

とまるで、ヤシの桜か〜 仕方なく ?

  「 3バイ買っていくちゃ〜 」 

と、それをきっかけに釜場は人だかり。結構、売上に協力したことになったようだ。

帰路につくも、まだ口の中に、香りと甘さが残っている。

  「 温かい内にたべよ〜と 」   

                       

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