里の道傍、手を伸ばせば届く所に、まだ背の低い細い枝に大きな「りんご」 がたわわに実り、枝がしなり、地面に着きそう。多分「富士」でしょう。 たかが「りんご」されど「りんご」である。 遠くは「アダムとイブ」に始まり、「ニュウトンの万有引力」の発見。 我々「凡人」はうまい〜と食うだけ。そんな事まで考えて食べたことがない。 幼い頃には、 「♪私は真っ赤なりんごです〜♪お国は寒い北の国〜♪」、 戦後の荒廃した世の中、明るい歌声でラジオから並木道子の歌が 「♪赤いりんごに唇よせて〜♪黙って見ている青い空〜♪りんごは何んも 言わないけれど〜♪」 そして、美空ひばりの「りんご追分」 「♪りんご〜の花びらが〜風〜に散ったよなぁ〜♪」と朗々と「初恋」の甘 すっぱい「りんごの味」 青春時代に、三橋美智也の『りんご村から』 「♪白いりんごの花がちらほ〜ら♪あぁ〜咲くだ〜ろうなぁ〜♪」 多分、この頃の品種は「紅だま、紅玉」だったと思う。真っ赤な皮、果実は 白く、味は甘すっぱく、大きさは野球のボ-ル位。うまかったね〜 産地は青森か長野。大きな木箱に籾殻か、おがくずの中に「紅玉」は埋 まっていた。それを掘り起こし、服の袖でこすると「ピカピカ」に光り、 一層食欲をそそる。そのまま「ガブリ」とかぶり付く。青森や長野の香りと 味が口中に広がる。うまい! 現代は青りんご、インドりんご、富士と品種も豊富であるが、りんごは 「紅玉」に限る。 今は商店、スーパーへ行っても、これが見当たらないのである。 |