--- 冬 雷 ---


       
 鋭い稲光、と同じに「ドッカーン」 停電、こんなに近くに落ちたのは  

何年振りだろうか〜  

どうりで、暮れから正月に掛けて「鰤」の大漁で浜は賑わいを見せている  

   「 昨日は四千本だぁ〜 」  

   「 今日は三千本だぁ〜 」  

と、あんなに「鰤」達に言い聞かせたのに〜  

   「 馬鹿だなぁ〜お前達は〜 聞き分けのないヤツ等だなぁ〜 」  

と、つぶやきながら、「ぐるぐる寿司」でその皿を引き寄せている私で  

あった。反省〜しきり〜  

横の席で愚妻もほおばりながら  

   「 だって〜うまいものはうまいと素直に食べましょう〜 」  

だって〜 鰤の気持ちも知らないくせに〜 こんなロマンのない人に説明  

するのも、疲れるしねぇ〜 口に入れている時だけ静かな妻互いに顔を  

見合わせて、にんまり、黙々と口に運ぶ。  

あぁ〜罪深き私達をお許し下さい。色のハデな皿ばかり積み重ねて、  

   「 あぁ〜おいしかった〜 ご馳走さま〜 」  

   「 エッ、えっ〜俺が払うの〜 」  

あの満足そうな顔に免じて「許す〜」と気前良くレジの前に立つ私でした。    

      

                   

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