さて〜 始めての夜汽車に揺られて白々と夜も明け、高崎、熊谷、大宮、浦和、と都会に 近づくに従い、建物も混み合い高いビル群が多くなって来ました。 もうすぐ「上野」だぁ〜と思うと、なんだか武者ぶるいがして来たものです。 「 終着駅上野〜 上野〜 お忘れ物のないように〜 」 確か、改札出口で従兄弟が迎えに出てると聞いていましたが、上信越線、北陸線、東北線、 その他、プラットホームの多い事〜 何番の出口か聞き忘れたのだぁ〜 あぁ〜 正に 「おのぼりさん」、迷子になりそう〜 兎に角、人の流れに押されつつ歩く、歩く。 「 あ〜 思い出した〜 西郷さんの銅像の方へ出れば〜 」 当時、地方から家出少年・少女が上野駅改札口でウロウロしていると、言葉巧みな「おにい さん」に何処かへ連れていかれるよ〜と聞いていました。出口近くに交番があるから、 そこへ飛びこみなさい・・・ いろんなアドバイスを思いだし、ちょっと心配でしたが ちょうどそこへ 「 オ〜イ ここだよ〜 よく来たね〜 」 と、従兄弟である。 その顔を見て、やっと一安心。 「 さすが東京だね〜 人も車もどこからこんなに出てくるのかね〜 」 なにしろ、見るもの聞くもの、驚くことばかり。典型的な「おのぼりさん」である。 やっと、神田の叔父さんの家に着き、落ち着きましたが、まず、言葉の問題が・・・ 「なまり」をあまり出さないように気を付けなければ・・・ 地方の従兄弟は、 「 そんなの気にしなくても・・・ だってね〜 大体ほとんどの人達は 全国からの集まりだから〜 まして〜富山はそんなにひどくないよ〜 大丈夫、大丈夫だよ 」 「 そぉ〜? 」 と私。 叔父さんは、 「 ど〜だろう〜 まず、東京は始めてだから東京見物でもしたら〜 」 従兄弟は 「 そ〜だね〜 いろんな所をみるには、ハトバスに乗れば〜 」 「 いや〜 遊びに来たんじゃないから、それは休みの日にでもとして 明日は、とりあえず、新宿の店を見学しなければ〜 」 「 うん、うん、そうしょうか〜 それじゃ〜 明日一緒に行こう 」 叔父さんは、若いころから「意気」な人で、なかなかの苦労人と聞いていましたが、 「 最初に言っておく、どんな仕事にしろ、まず、仕事を覚えろ、北陸人は 真面目で忍耐強い、との印象を職場に植え付けること、それから、酒と 女、これで失敗してる奴は沢山知って居るが、ろくなもんにはならない 一人前になるまでは叔父さんが責任があるから、田舎の兄貴(私の父)に 申し訳がたたない、以上だぁ〜 まぁ〜まぁ〜良く来た、一杯やれ〜 」 「 いえ、いえ〜私は〜 」 と言いつつ・・・? つづく |