神田の叔父さんに大きな「釘」を一本刺され、肝に命じて精進する決心をし、翌日、早速 従兄弟と新宿へ、東口に出ました。 人人人、車の行列、デパ−トあり、繁華街の賑やかなこと。これでは、毎日がお祭りです。 従兄弟は、まっすぐコマ劇場の方へ歩きます。 「 ここが、新宿では一番面白い、歌舞伎町だよ〜 」 「 ん〜? 歌舞伎でもやっているの〜 」 「 ハッハハハハ〜 まぁ〜まぁ〜 ゆっくり歩いて一回りしようよ 」 な〜る程、段々と分かって来たのです。頭の中は蛍光灯だね〜 ま〜てよ、昨夜叔父さんの 「釘」がチクリと刺さります。 いけねぇ〜いかん、いかん、従兄弟は最初にこんな所へ連れてきて「試す」つもりだな ! 「 それよりも、中村やを探そうよ 」 「 すぐそこだよ〜 」 それにしても、とんでもない所へきたものだ〜 ドキドキしながら、その店の店員さんに、田舎からの知人を訪ねると 「 ○○さんは先月退社されました 」 「 え〜っ 」 絶句でした。事情を説明しましたら、 「 事情はわかりました、人事の人に面接して下さい 」 と・・・ 履歴書を見せ、洋菓子を勉強し修行をしたいと説明しましたら、 「 では、良かったら我が社の下請けですが、ここを見学して決めて下さい 」 と名刺と地図を書いてくれました。 都内の地理不案内なので、従兄弟に見せますと、 「 これは中野じゃん 」 電車でそちらに向かいます。期待でわくわくしながら・・・ そこは、小さな町工場でごみごみした下町の場末。着いた所の看板が「かりん糖」工場。 がっかり。 「 帰ろうよ 」 「 そうだね〜 」 期待はずれで、足も重く・・・ 「かりん糖作り」なんか習うつもりはないのです。 ( ・・・ さ〜て、一応神田へ帰って考え直そう〜 ・・・ ) このまま、すごすごと田舎へ帰る訳には行かないのであります。さ〜て、仕切りなおしです。 つづく |