いよいよ、仕事としての「茶店ボーイ」 服装は白のバーコート上下、カウンターの中で作ら れた品物、飲み物をステンレスのお盆に乗せてお客様のテーブルに運びます。 「 いらっしゃいませ、ご注文は!」 注文を聞き、カウンター内にオーダーし、伝票とオーダー品を確認。『お待たせいたしました』、 『ありがとうございました』、これが基本ですがメニューを覚え、アイスかホットか、値段等 など、初日は身体と頭の中はてんてこ舞い、さすがに『疲れた〜』です。だが、茶店も面白いと 興味を持ち、何時の日か、自分でもやってみたいと思いましたね〜 さて翌日、 「 昨夜は参ったなぁ〜 全然眠れなかったです 」 「 どうして〜 」 「 だってね〜 寝て居る部屋があの通りに面していて、天井が低いし、 目の前に信号があって、自動車がうるさくて〜 」 「 なぁ〜に、なれれば、その音が子守唄に聞こえてくるよ 」 「 あれが〜 子守唄〜? 」 「 田舎へ帰ると、逆に静かで眠れなくなるさ 」 「 そんなもんですかねぇ〜? 」 都会の人達は眠らないのかなぁ〜 そんな馬鹿なぁ〜 正に「不夜城」である。 朝はAM6:00に喫茶部へ。床掃除、テーブル拭き、タンブラー拭き、コーヒーの採り方 (ドリップ式、サイフォン式)コーヒー豆の焙煎、ミキサ-の掛け方(荒引き、細引き)、コーヒー 豆の種類、選び方などなど、メモするのに一生懸命です。 そのうち、準備中にも関わらず、客が入って来ました。 「 いつもの 」 「 ん〜? おはようございます? 」 すかさず、先輩(女の娘)は、 「 先生 ! いらっしゃいませ、おはようございます 」 「 ん〜? 見かけない人だねぇ〜 」 「 はい、今日から入店しました新人の内山君です 」 私も、 「 内山です、よろしくお願いいたします 」 「 ん〜 よろしく 」 先輩は、煎れたてのコーヒーを作り、私に目で合図し、先生に持って行くようにと・・・ 「 お待ちどうさまでした 」 「 ん〜 」 銀淵のメガネを掛け、年のころは50歳くらい。少し小太り気味、近寄りがたい雰囲気の先生だ〜 私の苦手な人だなぁ〜と思っていましたが、後にいろいろと御ひいきになる先生でした。 ちなみに、この先生とは向かいの大学教授で「T先生」とおっしゃるのであります。 つづく |