--- 私の青春時代 その10 ---

( いよいよ洋菓子修行 )



 ここの店に来て、もう2年になりました。1年くらいで階下の茶店ボーイも卒業し  

ようやく2階の洋菓子工場に入りましたが、これには段階がありまして、洗い方、  

かんかん(材料の計量)、焼き方(オープン釜)、ミキサー生地流し、仕上げ方とその  

製造の流れの一員となって、頑張って上がっていくのです。  

この仕事は年齢には全く関係無く、全て経験で、自分の仕事をしながら常に先輩  

の動き、作業の手順、加減を目で追い、自分の物にして行かなければ、次の段階  

に上がれないのであります。  

小さい工場だからこそ、先輩とは言え、仕事としては常にライバルでありました。  

現代のように『手とり足とり』と丁寧には教えてはくれません。なにごとも  

  「 自分で考えろ〜 」  

と・・・  

 チーフ(工場長)が入れ替わると、も〜大変、大変。製品もがらりと変わるのです。  

当然、材料配合も全然変わり、各セクションでの戸惑いはどうかなぁ〜と思って  

いたものですが、さすが先輩達は、その配合を見ただけで、焼き方、生地の具合、  

仕上がりなどのイメージが頭の中で判るそうなぁ〜。職人だなぁ〜と感心していま  

した。  

仕上げのデザインはチーフが決めるのですが、センスと言うか、色、形、いかにも  

『美味しそうな製品』となって店のケースに並ぶのです。  

それを毎日、真近で見ながら思ったものです。  

 (・・・よ〜し、今に見ていろ〜俺もいつの日かチーフになってやるぞぉ〜・・・ )  

と・・・  

                                          つづく          

                   

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