ここの店に来て、もう2年になりました。1年くらいで階下の茶店ボーイも卒業し ようやく2階の洋菓子工場に入りましたが、これには段階がありまして、洗い方、 かんかん(材料の計量)、焼き方(オープン釜)、ミキサー生地流し、仕上げ方とその 製造の流れの一員となって、頑張って上がっていくのです。 この仕事は年齢には全く関係無く、全て経験で、自分の仕事をしながら常に先輩 の動き、作業の手順、加減を目で追い、自分の物にして行かなければ、次の段階 に上がれないのであります。 小さい工場だからこそ、先輩とは言え、仕事としては常にライバルでありました。 現代のように『手とり足とり』と丁寧には教えてはくれません。なにごとも 「 自分で考えろ〜 」 と・・・ チーフ(工場長)が入れ替わると、も〜大変、大変。製品もがらりと変わるのです。 当然、材料配合も全然変わり、各セクションでの戸惑いはどうかなぁ〜と思って いたものですが、さすが先輩達は、その配合を見ただけで、焼き方、生地の具合、 仕上がりなどのイメージが頭の中で判るそうなぁ〜。職人だなぁ〜と感心していま した。 仕上げのデザインはチーフが決めるのですが、センスと言うか、色、形、いかにも 『美味しそうな製品』となって店のケースに並ぶのです。 それを毎日、真近で見ながら思ったものです。 (・・・よ〜し、今に見ていろ〜俺もいつの日かチーフになってやるぞぉ〜・・・ ) と・・・ つづく |