なんと言っても、この世界でのメインは『クリスマスケーキ』。 その時期になると チーフは、 「 さ〜 日本全国にわかクリスチャンのために頑張れよ〜 」 と、檄を飛ばすのであります。毎年12月に入ると昨年との比較、今年の目標数など、 社長から指示があるのですが、それとは別にチーフから、うれしい提案です。 「 今年のクリスマスケーキはソフトに美味しく、高級感のある丁寧なものを 作る。 さて、そこでだぁ〜 皆にチャンスをやろう〜 一週間後に工場 内クリスマスケーキコンテストをやる、各々の良いところを取り入れ採用 する 」 内心、 ( ・・・ チャンス到来しめしめ ・・・ ) 私は、日頃試していたり思っていたことをこのケーキに込めようと、仕事が終わって からクリームの絞り、バラ絞りを練習しておりました。デザインもいろいろ考え、帳面 に書いておりました。元来、私は不器用な方で、指もゴツゴツした骨ばっていたので、 「 あぁ〜 白魚のような細い器用な指がぁ〜 今更手遅れかぁ〜 ! 」 とぼやいておりましたら、 「 お前は天才じゃないんだから、練習するよりないだろう ? 」 と、先輩。 「 はい、頑張ります 」 「 ところで、御曹司は何処へ行ったか知らない ? 」 「 いや〜? 」 「 あいつ〜 また〜どこかへふけたなぁ〜? 」 あいかわらずである御曹司は・・・ しかし、憎めないヤツ。 そこへ階下から、例の女先輩が、 「 悪いけど、店が満員なの手伝ってくれない? 」 「 いいよ 」 久しぶりにカウンターに立つと、 「 あれーいたの〜? ひさしぶりね〜 」 「 ほんとに〜 ね〜 」 「 たまに〜 顔〜出しなさいよ〜 」 まいったね〜 慶応ガールで満席です。軽く頭を下げ挨拶しながら注文をこなします。 ます。汗ダクダク、 ( ・・・ なんなんだぁ〜 これは〜 ・・・ ) 男ばかりの工場から、突然に女っ気ムンムンのこの雰囲気。なんだか、御曹司の気持ち が少しは分かるような気がしたが、そんなことばかりはやってられないよね〜 仕事、し〜ご〜と〜。 つづく |