東京の師走は空っ風で寒く感じます。むしろ雪にすっぽり埋まった田舎の方が暖かく 感じるのです。仕事が始まる前に、階下の「茶店」でコーヒーを立てながら一杯 ご馳走になるのが日課になっておりました。 先輩のk子女史が、 「 ねぇ〜 今日午後に例の教授のゼミがあるの 」 「 それで〜 」 「 そのゼミにコーヒーセット30人前出前をたのまれて居るんだけど手伝って くれない ? 」 「 いいけど、うちのチーフに言っとけばいいよ 」 久しぶりの大学出張出前です。ケーキ、コーヒーカップ、受け皿、ナプキン、ホーク、 スプーン、大きなポットと今様の紙のセットではなく、全部本物を持って行っていた ものですから大変なことでした。 ゼミが始まる前の一時間前にテーブルにセットし学生を待つのですが、ゼミを受ける 学生はほとんどが女学生でありました。30分前にはぞろぞろと集まり、その教室は コーヒーの香りと「早乙女」? の臭いでムンムンの状態です。 いつもの顔なじみの上品なY子さんとA子さんが、 「 ご苦労様です、Uさん、今度の日曜日にパーティするんだけどこない〜? 」 「 何処でですか〜? 」 「 うちの別荘の軽井沢なんだけど 」 「 えぇ〜? 」 「 大丈夫よ、車でお迎えをさせるから 」 「 私一人ですか? 」 「 なんならお友達一人ぐらいなら〜 」 「 突然なので、今はお返事が出来ませんよ 」 「 そぉ〜よね〜 」 これはえらい事になってきたよ〜 だってね〜 こんな田舎者がパーティーなんて やった事もないし〜 第一マナも知らないし・・・ 困った挙句、チーフに相談したら、 「 ウァハッハハハ〜 そりぁ〜そうだろう、考えてもみなぁ〜 お前達に 飲み物やデザート、ケーキ、ポンチ等を作らせるのが目的だろうよ 」 「 そうですよね〜 おりゃ〜そんなにもてるわけゃないね〜 」 「 ウワッハハハハハ 」 「 残念ながら、断ろうか〜 」 工場中大笑い〜 いや〜 しかしね〜 そこでどんな出逢いがあったかも〜知れないと思うと・・・ ほんと、残念、断腸の思いです。 つづく |