--- 私の青春時代 その12 ---

( パーティへの誘い )



 東京の師走は空っ風で寒く感じます。むしろ雪にすっぽり埋まった田舎の方が暖かく  

感じるのです。仕事が始まる前に、階下の「茶店」でコーヒーを立てながら一杯  

ご馳走になるのが日課になっておりました。  

先輩のk子女史が、  

  「 ねぇ〜 今日午後に例の教授のゼミがあるの 」  

  「 それで〜 」  

  「 そのゼミにコーヒーセット30人前出前をたのまれて居るんだけど手伝って  

    くれない ? 」  

  「 いいけど、うちのチーフに言っとけばいいよ 」  

久しぶりの大学出張出前です。ケーキ、コーヒーカップ、受け皿、ナプキン、ホーク、  

スプーン、大きなポットと今様の紙のセットではなく、全部本物を持って行っていた  

ものですから大変なことでした。  

 ゼミが始まる前の一時間前にテーブルにセットし学生を待つのですが、ゼミを受ける  

学生はほとんどが女学生でありました。30分前にはぞろぞろと集まり、その教室は  

コーヒーの香りと「早乙女」? の臭いでムンムンの状態です。  

いつもの顔なじみの上品なY子さんとA子さんが、  

  「 ご苦労様です、Uさん、今度の日曜日にパーティするんだけどこない〜? 」  

  「 何処でですか〜? 」  

  「 うちの別荘の軽井沢なんだけど 」  

  「 えぇ〜? 」  

  「 大丈夫よ、車でお迎えをさせるから 」  

  「 私一人ですか? 」  

  「 なんならお友達一人ぐらいなら〜 」  

  「 突然なので、今はお返事が出来ませんよ 」  

  「 そぉ〜よね〜 」  

これはえらい事になってきたよ〜 だってね〜 こんな田舎者がパーティーなんて  

やった事もないし〜 第一マナも知らないし・・・  

困った挙句、チーフに相談したら、  

  「 ウァハッハハハ〜 そりぁ〜そうだろう、考えてもみなぁ〜 お前達に  

    飲み物やデザート、ケーキ、ポンチ等を作らせるのが目的だろうよ 」  

  「 そうですよね〜 おりゃ〜そんなにもてるわけゃないね〜 」  

  「 ウワッハハハハハ 」  

  「 残念ながら、断ろうか〜 」  

工場中大笑い〜  

いや〜 しかしね〜 そこでどんな出逢いがあったかも〜知れないと思うと・・・  

ほんと、残念、断腸の思いです。   

                                              つづく            


                   

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