それから一年、縁あって目黒は清水町へ移転。そこはレストランと喫茶、その裏に工場 があり、主に「ビールのおつまみ」、今風のパイ生地で作ったチ−ズスナックを生産して いました。 パートのおばさん達を20人位使い、忙しくわいわいと仲良く仕事に頑張っておりました。 茶店とケーキはチ−フと私が、一段落すると私が工場長として、おばちゃん達と一緒に 仕事をしておりました。その他男子が3人、併設のレストランは厨房は男子3人、ウエイ トレスは3人。 一緒に作業をする「おばちゃん達」には、年頃の娘さん達がいるらしく、特に雨降りの 日は色とりどりのパラソルを差して、「おかあさんのお迎え」が恒例になっておりました。 これには訳ありで、 「 うっちゃ〜ん ! これが家の娘なの〜 」 と、これ見よがしに紹介されるのでありました。 「 はじめまして、いつも母がお世話になりまして 」 「 いやいや〜 こちらこそお世話をかけております 」 簡単な、瞬間的な『お見合い』なのでしょうかぁ〜 ? 翌朝、 「 ど〜だったぁ〜 家の娘、気に入ったぁ〜? 」 「 え〜ぇ〜! そぅ〜だったの〜 」 「 よかったら、何時でも言ってぇ〜 すぐよこすから〜 」 「 ちょっ、ちょっとまってくださいよ〜 」 それがぁ〜 私の好みのタイプじゃ〜ないのに〜なぁ〜 おばさん同士の対抗意識があるのか、雨降りの日には何組か重なったりして〜 あぁ〜 なにもそんなに一度に来なくても〜 でも悪い気はしないのですがぁ〜 『いやいや〜 まだまだ〜修行が足らん』と神田のおじさんと親父に、頭の上からどや されそうですね〜 俺は情けに弱いタイプだからなぁ〜 ! |