--- 私の青春時代 その19 ---

( メキシコからの訪問者 )



 東京オリンピックも終わり、少し落ち着いた9月ごろ、まだ残暑がつづいておりました。  

ある日、私の上京の折り、大変お世話になった、この業界紙の編集長S氏からチーフ  

に電話あり。  

  「 やぁ〜 内山君は元気にやっているかねぇ〜 実は今ここにメキシコからの  

    めずらしいお客さんが、そっちの工場見学をしたいと言っているのだけど、  

    都合はど〜かね〜?  」  

  「 はい! ど〜ぞ、いつでもいらしてください。ところで、内山君に何かご用  

    でしょうか 」  

  「 いやいや、本人達が直接話したいとのこと、それでは今からそちらに案内  

    するから、よろしくなぁ〜 」  

チーフから、  

  「 お〜い、うっちゃん ! メキシコからお客さんだってさ〜 」  

  「 えぇ〜っ  な〜にそれって〜? 」  

私には、なにがなんだかさっぱり分からない。次のオリンピックは、確かメキシコだ位  

にしか思っていなかったのであります。  

 少し早めに私の仕事を切り上げ、チーフと茶店でコーヒーをすすりながら、打ち合  

わせ しておりました。  

夕方、茶店のドアのベルが「カラン〜コロ〜ン」と鳴ったたので振り向くと、日焼けして  

健康そうな、60代の恰幅のいい叔父さんと20代そこそこの女性が、  

  「 コンニチワ〜 ハジメマシテ〜 セニョ〜ル、ウチヤマサン イマスカ〜 」  

チ−フが、  

  「 お〜い、うっちゃん来たぞぉ〜 」  

  「 えぇ〜 ほんとぉ〜! 」  

なんとぉ〜 その娘さんは上から下まで黒ずくめで、いかにも健康そうな、はちきれん  

ばかりのバディ〜。真っ黒なロングヘヤ〜、くりくりの大きな黒い瞳、どこか人差し指  

でつつくと、果汁が出てきそうな感じで・・・  

あっけに取られて、呆然と見ておりました。  

  「 お〜い うっちゃん挨拶、挨拶 」  

  「 はい、こんにちわ、はじめまして、内山です 」  

その叔父さんは、日系二世でその女性は娘さんだとのこと、片言の英語まじりと日本  

語でなんとか会話が通じました。  

  「 実は、メキシコの気候は日中は暑いが夜半は冷え込み、あなた方のやって  

    いるお菓子は丁度、わが社でも出来るのではと思いまして、見学にやって  

    来ました 」と !                                             

                                          つづく         

                   

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