--- 私の青春時代 その20 ---

( 褐色のセニョリータ )



 その社長とチーフが話合っておりました。私はカウンターに入り、パフェーとアイス  

コーヒーを作り、テ−ブルへ。  

その間、セニョリーターはジ〜と私の仕草をあつ〜い目で追って来るのです。私も感  

じてはいましたが・・・  

その社長は、  

  「 結論から言いましょう〜 あなたのところの若い人、一人、一緒に  

    メキシコへ行って指導してもらいた〜いのですね〜 」  

ジ〜と二人で私を見つめています。そのときチーフの手が私の白衣の後ろを指で摘  

んでいて、私が『イエ−ス、アイアムゴ−イング』とでも言うかと後ろで引っ張っていた  

そうな(後に聞いたら)。  

なにせ、あちらは広い国のこと。隣り町まで数百キロもあるそうな。しかも周りは砂漠、  

いやいや〜そのセニョリーターに目を奪われ、頭の中はくらくらしていて、いろんな事  

を空想している自分に気付き、  

  「 今日は急なお話ですので、お返事は後日に連絡させてください 」  

と・・・  

 その夜、うちの社長とチーフ、私と3人で酒を飲みながら、  

  「 お〜い、うっちゃん、お前には悪いが、お断りしなさい。あのセニョ  

    リーターは当て馬だよ〜 向こうへ着いたら、お前が空想してたのと  

    は違ったら絶望だぞ〜 砂漠の中でうずまっていなきゃならんぞぉ〜  

    やめとけ〜やめとけ〜 向こうに婚約者がいたりして〜 ウワッハハ  

    ハハハ〜 」  

チーフも、  

  「 お前の勘違いかもしれんぞぉ〜 世の中そんなに甘くないて〜 ウッシ  

    シシシ〜」  

  「 あぁ〜 でもねぇ〜 綺麗な娘だったね〜 」  

後の『アグネス・ラム』みたいだったぁ〜  

あの瞳でジ〜と見つめられるとなぁ〜参るよなぁ〜  

夢の中のセニョール、セニョリーター if(イフ)の世界があったなら、今ごろは〜?  

メキシコオリンピックの競技をTVで見るたび、思い出してため息をついていました。  

あぁ〜 夢の また 夢〜                                         

                                          つづく         

                   

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