--- 私の青春時代 その23 ---

( M子の誘い その3 )



 夏の名残か、残暑厳しいある日曜日、仕事は休みです。雑用と洗濯、部屋の  

片付けと、案外に午前中は忙しいのであります。  

工場の掃除、茶店の掃除も終わり、  

  「 やれやれ、もう〜 お昼かぁ〜 」  

昨日の売れ残った冷た〜いコーヒーを作って、タバコをくゆらせ、新聞を読ん  

でいました。そこへM子が入って来ました。  

  「 私にも一杯作って〜 お昼だけど ど〜する〜? 」  

  「 ど〜するって〜 」  

生半可な返事をしていると、     

  「 私にまかしといて〜 厨房に冷や飯があったからチャーハン  

    でもつくりましょうかぁ〜? 」     

  「 わるいね〜 」  

  「 へいき、へいき 」  

  「 あっそ〜 俺も手伝うよ 」  

コーヒーを呑んでから隣りの厨房へ。  

 休みの厨房は、閑散としていますが、M子は鼻歌交じりで、ひばりの唄を  

ハミングしながら、手際よく、ねぎ、焼き豚を刻み、大きなフライパンに油を  

引き、ガスレンジに火を付け、冷や飯を入れ、シャッ〜シャッ〜とご飯をヒラ  

でほぐしながら、フライパンを煽る。  

  「 さ〜 もう少しで出来上がりよ〜 塩、胡椒〜小しょう〜  

    あっ〜 そこの醤油取って〜 」  

だだ、あっけに取られて見ているだけ〜。なかなかの腕前である。  

内心、  

   (・・・ お主できるなぁ〜 ・・・)  

と、  

  「 はいっ〜 そこの大きな皿二枚ならべて〜 」  

胡椒し、醤油の香ばしい臭い。     

  「 さぁ〜 食べましょう〜 」  

何時の間にか、私は両手にスプーンをもって  

  「 はいっ、ごくろうさん 」  

とM子に片方のスプーンを差し出しただけだった。これが〜  

  「 うまいね〜 」  

  「 ウフフフフ 」  

と笑って答えず。  

  「 いつもフライパン煽っているの〜 」  

と聞くと、  

  「 いいえ〜 見よう見真似よ 」     

  「 そう〜驚いたね〜 でもさ〜 なかなかの手際の良さと腕力  

    いるでしょう〜 」  

  「  体力には自信あるの〜 」  

  「 それよりも味はどぅ〜 」  

  「 いいね〜 おれ好みだよ〜 」  

  「 うまいこと〜いって〜 」  

  「 いやいや〜 ほんと〜だよ 」  

食べながら、なんだかんだと話していると、味の好みといい、性格といい、    

相性がいいのかなぁ〜と、いや〜妙な予感がして来るのだが、過日の事  

もあり、誤解あり、誤解と錯覚でなければいいがぁ〜と思いつつ・・・     

                                           つづく         

                   

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