夏の名残か、残暑厳しいある日曜日、仕事は休みです。雑用と洗濯、部屋の 片付けと、案外に午前中は忙しいのであります。 工場の掃除、茶店の掃除も終わり、 「 やれやれ、もう〜 お昼かぁ〜 」 昨日の売れ残った冷た〜いコーヒーを作って、タバコをくゆらせ、新聞を読ん でいました。そこへM子が入って来ました。 「 私にも一杯作って〜 お昼だけど ど〜する〜? 」 「 ど〜するって〜 」 生半可な返事をしていると、 「 私にまかしといて〜 厨房に冷や飯があったからチャーハン でもつくりましょうかぁ〜? 」 「 わるいね〜 」 「 へいき、へいき 」 「 あっそ〜 俺も手伝うよ 」 コーヒーを呑んでから隣りの厨房へ。 休みの厨房は、閑散としていますが、M子は鼻歌交じりで、ひばりの唄を ハミングしながら、手際よく、ねぎ、焼き豚を刻み、大きなフライパンに油を 引き、ガスレンジに火を付け、冷や飯を入れ、シャッ〜シャッ〜とご飯をヒラ でほぐしながら、フライパンを煽る。 「 さ〜 もう少しで出来上がりよ〜 塩、胡椒〜小しょう〜 あっ〜 そこの醤油取って〜 」 だだ、あっけに取られて見ているだけ〜。なかなかの腕前である。 内心、 (・・・ お主できるなぁ〜 ・・・) と、 「 はいっ〜 そこの大きな皿二枚ならべて〜 」 胡椒し、醤油の香ばしい臭い。 「 さぁ〜 食べましょう〜 」 何時の間にか、私は両手にスプーンをもって 「 はいっ、ごくろうさん 」 とM子に片方のスプーンを差し出しただけだった。これが〜 「 うまいね〜 」 「 ウフフフフ 」 と笑って答えず。 「 いつもフライパン煽っているの〜 」 と聞くと、 「 いいえ〜 見よう見真似よ 」 「 そう〜驚いたね〜 でもさ〜 なかなかの手際の良さと腕力 いるでしょう〜 」 「 体力には自信あるの〜 」 「 それよりも味はどぅ〜 」 「 いいね〜 おれ好みだよ〜 」 「 うまいこと〜いって〜 」 「 いやいや〜 ほんと〜だよ 」 食べながら、なんだかんだと話していると、味の好みといい、性格といい、 相性がいいのかなぁ〜と、いや〜妙な予感がして来るのだが、過日の事 もあり、誤解あり、誤解と錯覚でなければいいがぁ〜と思いつつ・・・ つづく |