--- 私の青春時代 その24 ---

( M子の誘い その4 )



 私達、男子の寮は、通りに面したアパ−トの二階(長屋風)で一階は間口の小さ  

なお店がずらり並んでいました。  

私の部屋の下は「赤ちょうちん」の下がった焼き鳥や。その匂いと煙は、容赦な  

く、窓から飛び込んでくるのです。  

   (・・・ ど〜れ テレビでも見て寝るかぁ〜 ・・・)  

と布団をひき、横になりました。  

   「 カチ〜ン、カ〜ン 」  

と窓に小石が当たる音 !  

   「 だ〜れだよ 」     

と窓を覗くと、焼き鳥やの前でM子が手を振っていました。  

   「 ど〜したぁ〜 」  

   「 暑いから眠れないの〜 散歩しな〜い〜 」  

   「 あぁ〜いいけどさぁ〜 しょうがない人だなぁ〜 」  

   「 お昼においしいもの作ってあげたでしょう? 」  

   「 弱いところを突いてくるねぇ〜 」  

   「 うっふふふふ 」  

車の騒々しい音を横切り、一本裏道に外れると、静かな夜道です。  

M子は片手にうちわ、下駄履き、私はサンダル。  

   「 カラン、コロン、パタ、パタ 」  

と妙な足音のハーモニー?  

 暫く歩くとM子は、  

   「 そうそう〜 私、いいとこ思い出したわ〜 」  

   「 んん〜 なんなんだぁ〜 」  

   「 ピンポンできる〜? 」     

   「 ピンポン〜 卓球のこと〜? 」  

   「 そうそう〜 それよ〜 」  

   「 いや〜 子供の頃にすこ〜しやった事あるけど〜 」  

M子は“ニヤリ”とほくそえんでいます。  

   「 なんなんだよ〜 こんな遅くにそんな事出きる店でもあるの〜 」  

   「 それがぁ〜あるのよ〜 お店じゃ〜なくて〜 」  

   「 えぇ〜? 」  

   「 行きましょう〜 へいき、へいき 」  

   「 へいき、ね〜? 」  

それは、或るタクシ−会社の大きな立体駐車場の屋上であった。     

                                           つづく         

                   

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