--- 私の青春時代 その28 ---

( チーフの頼み )



 ある日、深刻な面持ちでチーフが、  

  「 ウッちやんに頼みがあるんだが〜 」  

  「 えっ〜? 私にできることなら、何でも 」  

  「 実は〜 こんなこと頼めるのはウッちゃんよりいないんだ〜 」  

  「 なんでしょう ? 」  

  「 ん〜 女房に浮気がバレそうなんだよ 」  

  「 えっ〜 浮気〜? 」  

  「 そこでだぁ〜 あの娘はウッちゃんの彼女なんだよ、と言ったんだよ 」     

  「 えっ〜 どんな娘さんなんですかぁ〜? 」  

  「 デパートガールでF子って言うんだ、美人だぞ〜 背は高く細く、少し  

    上品で尽くすんだよ 」  

  「 そんな娘、何処で拾ったんですか? 」  

  「 例のサントリーバーでだよ 」  

  「 そんな娘は私になじみますかね〜? 」  

  「 打ち合わせはしてあるからこれから逢いに行こうよ 」  

  「 今からですかぁ〜? 」  

その娘さんは、きょうがお休みということで、新宿で待ち合わせることになった。     

  「 来た来た 」  

とニタリ顔。  

平素見せない顔で『ど〜も〜』だって。  

  「 打ち合わせのこの人がウッちゃんですよ 」  

  「 よろしく〜 」  

  「 このたびは大変ご迷惑をおかけします、よろしくお願いします 」  

なるほど美人だぁ〜 俺よりも少し背が高く、やはり育ちの良さが仕草振る舞いに  

出てる。     

しかし、チーフの奥さんは感が鋭いからなぁ〜 俺とその娘との釣りあい、相性が  

合わないことは一目で明かされそうだね〜 ドキ〜。  

どうも話しててもかみ合わない娘さんですが、私が俗世に犯されているせいなんです  

かね〜 余りにも住む世界が違い過ぎるようだ。  

いや〜 困ったことになりそうだよ〜 チーフも好きだね〜 やはり違ったタイプの  

女に魅力を感じるのかなぁ〜  

しかし、後始末がたいへんだぁ〜  

    

                                        つづく         

                   

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