--- 私の青春時代 その29 ---

( 奥方 )



 仕事に出かける時に、チーフの奥さんに出くわした。  

 「 ウッちゃん彼女が出来たんだって〜? 一度連れて来なさいよ 食事でも  

   一緒にど〜かしら 」  

 「 は〜 向こうの都合もきかなくちゃ〜 それでは今度の休みにでも〜 」  

 「 そ〜ね、そうよね〜 」  

えらいことになって来た〜 とうとう面通しされるのかぁ〜  

すぐに『ばれる』のになぁ〜 困った、こまった〜  

 綿密にチーフと彼女、それに私で作戦を練っているけど、奥さんの感は鋭い  

からなぁ〜   

作戦としては、その食事会には、チーフは都合が悪く出ないことにして、3人で  

という事に!  

 次の週の休みに、あるレストランで待ち合わせ、何しろその彼女とは、ど〜も  

会話もはずまず、仕草もぎこちない。  

私は私なりに、懸命に演技したつもりだが、バレバレ。  

後日、     

 「 ウッちゃん本当に彼女なの〜 ? 正直におっしゃいよ 」  

あぁ〜なんと言ったらいいか     

 「 そうです、彼女です 」  

 「 もう〜なに、したの〜? 」  

 「 とんでもない 」  

 「 ほんと〜かしら? 近頃の若い娘は、平気だから 」  

 「 いや〜 そんなことはありません 」  

 「 そんなら早いこと、はんこをおしなよ 」  

 「 そんなぁ〜 」  

 「 次の週にうちのお店に二人でいらっしゃい そんなら信用してあげるから 」  

 「 は〜 」  

 「 すぐ裏に、おあつらえむきの宿が沢山あるじゃないのよ 」  

 「 なに〜言っているんですか、奥さん 」  

 「 はっはっはっ〜赤くなって〜 」  

 「 奥さんって人は〜 」  

次の休みに二人で、手をつないでその店に入った。  

 「 も〜ルンルン気分ね〜 」  

これで奥さんも信用したのだぁ〜  

これも演技、つかれました。  

 後で彼女に  

 「 頼むから、これでチーフと別れてくれ 」     

とやわらかく、説得。  

家庭崩壊に繋がることは罪である、と。  

あなたにはまだ将来がある、と。  

なんで私がこんなこと言わなくてはならんのか、変だね〜  

まぁ〜 この件は何とか納まったのだが、本当は奥さんはお見通しだったのだぁ〜  

女はすごく、そして賢く、恐ろしい生き物である、と・・・     

                                            

                                              つづく         

                   

 次へ 

 戻る (私の青春時代のページへ)

 ホームへ戻る