--- 私の青春時代 その35 ---

( 仮の彼女 その2 )



 次の休みの日に約束どおり、H子はやって来た。  

   「 やぁ〜 しばらく 」  

   「 皆さんもお元気そうで 」  

少し、はにかんでいた。  

ところが、そのときに日頃、H子さん、H子さんと呼んでいたが  

姓を知らないことに気ずく。なんて浅はかなことか !  

あの頃、白衣姿より知らない私としては、随分、大人の娘に  

なったなぁ〜と。そして綺麗になっていた。  

少し小柄だが、はきはきと返答し、気持ちがいい。  

実は、私は電話の声より知らなかったのである。  

店のオーダーと在庫の連絡でのやり取り、直接話したのは、  

きょうが初めてであった。  

   「 おいおい、まるでお見合いしているみたいだね〜 」  

とチ−フがからかう。  

 駅の近くの茶店に入り、自己紹介も済ませ、落ち着け、落ち着けと  

自分に言い聞かせる。  

いや〜なぜ、この娘を思い付いたのか、未だに分からない。  

 なんだかんだと話している内に、     

   「 今度、ウッちゃんが頼みがあるそうだから、こんど  

     二人で逢って相談しなさい 」  

時間はとっくに一時間は過ぎていたかなぁ〜 楽しい時間とは過ぎる  

のが早いね〜 なんだか意気投合。  

目黒の駅で別れ、チ−フが、  

   「 いい娘になったね〜 うん、うん 」  

一人で納得している。  

すかさず私が、  

   「 また〜悪い虫が〜 」  

   「 いやいや〜 もう〜こりごり〜だよ〜 」  

と首を引っ込める。  

   「 うまくやれよ〜 」  

   「 はぁ〜 うまくね〜 」  

   「 まぁ〜 新宿で一杯付き合え 」  

   「 は〜い 」  

チーフも私も今日は気分がいい〜  

    

                                            つづく         

                   

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